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【Tiger is Back !!】

2019.04.17

 強いタイガーが戻ってきた。14年ぶりにマスターズに戻ってきた。世界中を歓喜の渦に巻き込んだと言っても大袈裟ではない、久々のビックニュースでした。

 日本のレジェンド・イチローが引退し、脱力感ともいえるイチローロスの中、タイガーのマスターズ優勝!

 奇しくもイチローは私の一つ年上、タイガーは私の一つ年下。同世代アスリートの引退は悲しみに包まれるが、同世代の復活劇は我々に大きなエネルギーをもたらせてくれる。

 丁度10年前2009年、タイガーを巻き込んだ世紀の大スキャンダル劇。当時私はアメリカに住んでいたが、まさに連日連夜、徹底的にメディアはタイガーを叩きまくっていた。TVをつければタイガースキャンダルっていうくらい凄まじかったことを今でも鮮明に覚えています。

 日本でも有名人のスキャンダルに対して、メディアが徹底的に叩くのが最近の風潮という印象が皆あるであろう。しかしアメリカのそれは、日本のそれとは正直比にならないほど凄まじい。パパラッチにしても、過激メディアにしても、人権もひったくれもなく、ひたすら叩き続ける。

 あの精神力を持つタイガーでされ、自殺が頭をよぎったと後日コメントしていた程だから、それはもう凄まじかったのだろう。

 あれから10年の間に、世界一が当たり前のタイガーの世界ランクは674位まで下降。手術を重ね、試合に出るなんてレベルではなく、歩くことすらままならない。時が過ぎ、飛距離が重要な現代ゴルフで、若い選手に大きく引き離されるドライバー。誰しもタイガー時代の終焉を迎えたと思っただろう。

 

 しかし全ての予想を覆す、今回のマスターズ優勝。

 

 私は結果を知ったうえで録画中継に食い入るように観戦した。優勝したことを知っているのに一喜一憂し、TVに向かって声が出る程興奮した。マスターズ名物であるアーメンホールでは、10数年前の全盛期をラップさせるような経験豊かなショット。

 

 そして何より今回のタイガー復活劇で、強く感銘を受けたのは、アメリカ社会の一つの姿。

 

 全ての人たちが、タイガー復活を待っていたような盛り上がり方、そして心から称賛している社会背景が間違いなくある。

 

 そう、いつも見せつけられるのが、このアメリカ社会の「セカンドチャンスを与える姿」。人間は誰でもミスをする。もちろんミスをすると徹底的に叩くのもアメリカ社会。しかし、それだけで社会から消し去ろうとしない。叩くだけ叩いて、そのあとセカンドチャンスを与える。そしてそこで復活をすれば全てを忘れ去ったように迎え入れる社会であるといつも感じる。

 

 日本はどうだろう。芸能人でもスポーツ選手でも企業でも一般人でも、ミスをすると徹底的に叩く。そして社会から消してしまう。清原が覚せい剤で捕まったあと、ダルビッシュがツイッターで呟いたのが忘れられない。

 

「さぁ皆で清原さんのセカンドチャンス、応援しましょうよ! 
甘いとか自業自得とか聞くけど、そんな理由で 人の人生を消してもいいのでしょうか?」 

 

 人は必ずミスをする。 もちろん企業だってミスをする。しかし日本社会は倒産・破産をすると社会から抹殺される。「信頼・信用」が無くなるからだろう。

 

 しかし復活する人間は強いはずだ。そもそも何度も言うが人はミスをする生き物だ。ドナルド・トランプ大統領だって、4度も破産している。くしくも4度目の破産はタイガースキャンダルと同じ2009年。その数年後に大統領になれるアメリ社会。

 現代の日本では不可能であろう。

 

 仕事をしていて、誰かに何かを教えていても、いつも私が口にするセリフがあります。

 

「ミスをしてもいい、ミスをしない人間は何もしていない人間だ。何かにチャレンジしていれば人はきっとミスをするからだ。そしてミスは咎めないが、チャレンジしていないことに対しては苦言を呈す」

 

 世界一になる人間ですらミスはする。しかしそのミスを乗り越えたからこそ、もう一度世界一に戻ってくるチャンスがある。もし10年前のタイガーのミスにより、彼を社会から消し去っていたら、今回の復活劇は無かったわけだ。そしてこの復活劇によってどれだけの人々が勇気付けられたことだろうか。

 

 ミスをしても復活できる、セカンドチャンスが与えてもらえる日本社会になってほしいと切に思わせてくれる、今回のタイガー復活劇だった。