【10月20日決戦を直前に思うこと】
2019.10.17ラグビー日本代表、通称:ブレイブ・ブロッサムズが、日本国民を興奮の渦に巻き込み、ラグビーはまさに史上空前の盛り上がりを見せている。
ロシアとの開幕戦、選手全員が初戦の為か明らかに硬い動きの中、絶対条件の勝利+ボーナスポイントゲットと結果の上では満点スタート。二戦目はジャイアントキリングアゲイン、直前まで世界ランキング1位のアイルランドを文句のつけようのない内容で撃破。三戦目は、内容的に今一つもFWの頑張りもあり、これまたボーナスポイントゲットの上での勝利。そして先週末のスコットランド戦、歴史に残る名勝負の内容は、この場で語るほどでもないでしょう。
堂々のプールA 1位突破!!次戦はワールドカップ2度優勝の最強南アフリカ戦。
その南アフリカ相手に、日本国民全体が、次も日本代表はきっと勝ってくれるやってくれるというムードになってきている。しかしここでこのムードに水を差すようなコメントで恐縮ですが、イギリス大手ブックメーカーのオッズを出す賭けレートは、南アフリカの勝利に1.14倍、日本の勝利に5.50倍のオッズを出している。ちなみに、優勝予想では、ニュージーランドが2.25倍、南アフリカが4.33倍、世界ランク3位・イングランドが5倍、同2位・ウェールズが9倍、同4位・アイルランドが17倍、同6位・オーストラリアが21倍、日本が26倍、同8位のフランスが34倍となっている。冷静なパワーバランスはこういった数字であり、これが現実なのだ。
何が言いたいのかというと、それほどまでにこの南アフリカは強いチームだということ。もっとネガティブに表現すると、前回大会のジャイアントキリングは、共に初戦で更に南アフリカのスタメンはほぼ1.5軍のメンバー構成。悪いが完全になめていた。後半になり接戦で焦ったように、トップメンバー出してきたとき既に遅く、日本に大逆転を許したという屈辱的な敗戦であった。しかし今回は決勝トーナメントであり、ゲームスタートから全力で来るであろう。一昔前なら、フルパワーの南アフリカなんて、100点ゲームでの敗戦を覚悟はもちろん、そもそも南アフリカが日本相手にフルパワーで来ること自体がありえないことだった。
しかし現在の日本全体の雰囲気は、この優勝候補二番手の南アフリカを撃破する可能性が50% vs 50%と感じる程、国民全体が期待と高揚している。
この感覚はおかしいというのではなく、私的には実に面白い。雰囲気や精神的な部分が、ここまで現実の数字を凌駕してしまうのだろうかと思うからだ。実際、日本がこの勢いでこのまま優勝してしまっても不思議ではないというムードまで感じる。
「日本優勝しちゃうんじゃないの?」
もし今このコメントしても、果たして何人の人が笑ってバカにするだろうか。それだけ日本の今の勢いは本物だ。
さて前置きが長くなったが、ここからが今日の本題。
先日2019年8月16日、東京都内でとあるイベントに元日本代表、五郎丸選手が登場した。前回大会で一躍時の人になったスター選手だ。すると壇上の五郎丸に、意地悪なマスコミの質問が飛んだ。
マスコミ 「今回の日本開催のワールドカップ優勝国予想は?」
この記者を含めた会場全員は、五郎丸が三連覇のかかるオールブラックス・ニュージーランド?もしくは二度の優勝を誇る南アフリカ?はたまたエディ・ジョーンズ率いるイングランド??全員が興味をもって固唾をのんで彼の回答を待っていた。すると、彼はまさかの回答。
五郎丸 「優勝は日本です!」
(ジョークだと受け止めたマスコミや会場から失笑と笑いが起きる)
五郎丸 「皆さんは笑ってますけど、僕は本気ですから!!」
五郎丸は、明らかに怒りを抑えて強い口調で答えた。会場の空気が一変したらしい。彼の目は明らかに本気で、真面目に答えただけだった。確かに彼の性格を分析すると、現日本代表をバカにして笑いを取るようなジョーク発言をするような人間ではない。
しかしこのニュース、たった2か月前だが、大したニュースにもならなかったし、実際大きなニュースになったとしても、皆冷ややかな目で見たことだろう。事実ネットニュースの片隅で、たまたまラグビー好きな私が拾い読みをした程度だった。
しかし今、全く同じコメントを五郎丸がしたとしたら、日本国民はどういったリアクションをするだろうか?もちろん変わらず失笑する人も多々いるだろう。しかし熱いものを感じ、勇気を得たように、興奮を持ち受け止める人が今の日本には最低でも50%はいるだろう。
これが私が上でコメントした、南アフリカに50%は勝てると信じているだろうという数的根拠である。
もちろんスポーツでもビジネスでも結果を出さなければ失笑で終わるし、口だけで終わる。しかしそれでも本気の人間に対して、失笑するということ程失礼なことはないと痛感した一幕であった。
正直私も2か月前の時点で、プールA1位になることを、100%信じていたかというとそこまで言い切れない。
しかしブレイブ・ブロッサムズは日本人の可能性が無限大だということを教えてくれた。私なんかみたいな人間でも前に進んでいけば、きっと可能性を見出せるかもという勇気ばかり湧いてくる。
そして五郎丸の言葉は、沢山のことを教えてくれたような気がする。チャレンジし続けている人間を信じることの大切さを含めて。
今回の日本代表大躍進は、私の人生の中でも大きな記憶と残っていくだろう。それ程、毎日が興奮と生きがいと勇気を貰っている。ありがとうの言葉以外あるだろうか。
さあいよいよ10月20日決戦を迎える。奇しくも10月20日はミスターラグビー平尾誠二の三回目の命日。私は赤いジャージを着た故平尾の華麗なステップを見てラグビーを知り、故宿沢ジャパンの1991年ワールドカップ初勝利で歓喜し、秩父宮で故北島ラグビーに「前へ」を絶叫し、ラグビーに魅せられてきた。
偉大なる先人たちがブレイブ・ブロッサムズが日本開催のワールドカップ準々決勝に登場!!偉大なる先人が夢見た舞台。夢のまた夢だと思った大舞台。
どんな結果になろうとも、今の私は五郎丸の言葉を信じている!