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Facebook提訴 ~前編~

2020.12.11

 いきなり物騒なタイトルだが、今週世界中を騒がしているのが、この 「米連邦取引委員会(FTC)とNew York州など48州・特別区の司法長官が12月9日、ワシントンDC 連邦地裁に対し、Facebookを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した」 というニュース。

 

 FTC等の提訴内容を簡単に要約すると、下記の通り。

 

 Facebookが以前、市場の独占を脅かされることを恐れて写真共有アプリ「Instagram」や通信アプリ「WhatsApp」などを買収する戦略を取ってきたと主張し、両事業の売却を求めたということ。

 要するに、Facebookは脅威になるそうなポテンシャルの有る競合企業を、続々と買収してきたことが市場では不当であるということに対しての提訴。

 

 しかしFTCは、以前上記2社の買収を容認していたという現実があるので、この問題は厄介だ。一度容認した事実がありながら、ここに来てFTCは提訴をおこなったというのは、なかなかレアケース。

 

 ちなみに、日本ではあまりなじみのないWhatsAppは、日本でいうLINEのようなメッセージアプリ。LINEは日本では浸透したが、他の国ではそれぞれ別のメッセージアプリが主流であり、WhatsAppはアメリカ等がメインであり、韓国ではカカオトーク、中国ではWeChatが主流。

 

 さて話を戻し、FacebookがWhatsAppやInstagramを買収したわけだが、現在世界ではFacebook単体の月間ユーザー数は世界で27億人。Instagram、WhatsApp、Messengerを加えると、その数は32億人。78億人の世界人口の4割に上る。

 

 これを見ると、少しだけ日本的な発想かもしれないが、プラットフォームが少なければ少ない程、消費者にとっては便利じゃないかと感じる方も多々あるはず。世界中の全ての人々がLINEを使ってくれ、TwitterもFacebookもInstagramも一緒になってしまえば、それぞれアプリを立ち上げる必要性もないし、便利に決まっている。

 

 Facebookがドンドン大きくなれば、それこそアメリカの国益になるだろうし、会社は大きい程体力もあり、安定企業として社会の中で存在感を増してくれるだろう。日本人としては、そういった日々ライバル会社とせめぎ合う企業より、案敵的な企業で働きたいと考える方は多いのはないだろうか。

 

 日本人は、競争より安定を求める傾向にあるから、上記の発想は当然かもしれない。実際、トヨタ自動車が嫌いな日本人は少なく、逆に日本の誇りであり、更に世界に向けて発展して欲しいと願っている方が多いはず。

 

 そういう日本企業を提訴されれば、日本人ならどう思うのか。答えは容易だ。

 

 では何故、アメリカ大企業であるFacebookをFTCは提訴したのか?続きはまた・・・。