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【歴史的スピーチ】

2021.01.30

 

 1月20日に、アメリカ大統領就任式が行われた。

 

 世界最悪のコロナ禍においておこなわれた、史上最も激戦と言われたアメリカ大統領選挙から2か月半。無事に開催されたことに対する安堵は勿論、激選だったからこそ、この就任式は非常に興味を持って視聴した。その中で最も印象深かったのは失礼ながら、ジョーバイデン大統領のスピーチ、カマラ・ハリス副大統領のスピーチよりも、22歳の詩人、アマンダ・ゴーマンであったことは、私だけではないはずだ。

 

 彼女は宣誓式の後、詩「The Hill We Climb(私たちが登る丘)」を朗読した。実は彼女は一部言語障害を抱えているとのこと。彼女曰く、「文を書くプロセスは苦しいことだが、言語障害を持つ者として、多くの人々の前で話すことは、それ自体が一種の恐怖をもたらす」とコメントしている。

 

 そんな22歳の彼女が朗読した詩の和訳を下記記載します。

 

「The Hill We Climb(私たちが登る丘)」

 

日が登ると、我々は自問する、この終わりのない陰のどこに光を見つけることができるのだろうかと。

 

我々は損失を背負いつつ、海を渡らなければならない。我々は獣に勇敢に立ち向かい、静けさが必ずしも平和だとは限らないことを学んだ。規範や概念が必ずしも正義とは限らないことも。

 

そして、夜明けは我々のものになっていた。我々は、国が壊れているのではなく、単に未完成であるのを知り、乗り越えてきた。

 

国の後継者である我々は、奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた痩せっぽちの黒人の少女が、大統領になることを夢見ることができ、その夢を朗読をすることができると知ったのだ。

 

そう、確かに我々は洗練されていないし、清廉潔白でもなく、完璧な団結を作ろうと努力しているわけでもない。

 

しかし我々は、目的に向かって団結し、すべての人の文化、色、性格、条件にコミットする国を作り上げようと努めている。

 

だから我々は、我々の間にあるものではなく、我々の前にあるものに目を向ける。我々は自分たちの未来が最も大切だと知っているので、分裂を終わらせ、我々の違いを脇に置く必要があるのだ。

 

我々はお互いに手を差し伸べることができるように上げた腕を下ろす。誰にも危害を加えず、すべての人に調和を求めるために。

 

世界には、何はともあれ、これが真実だと言いたい。我々は悲しみ、成長した。我々は傷つき、希望を得た。たとえ疲れても、努力した。

 

我々は永遠の団結を得て、勝利した。二度と敗北しないからではなく、二度と分裂の種をまくことがないからだ。

 

聖書は、誰もが自分のブドウの木とイチジクの木の下に座ることで恐れることはなくなると教えている。

 

もし我々が自分たちの時代に生きるのであれば、勝利は刃にあるのではなく、我々が作ったすべての橋にある。それが約束の地、それが我々が勇気を持って登る丘だ。アメリカ人であることは、我々が受け継ぐべき誇り以上のものであり、過去に踏み込んで修復する手段でもある。

 

我々は、この国でともに生きるのではなく、この国を粉々にする力を見てきた。民主主義を後退させ、国を破壊することになる力を。それはもう少しで成功するところだった。しかし、民主主義は時として遅れを取ることがあるが、永久に打ち負かされることは決してない。

 

この真実を、信仰を、我々は信頼している。我々が未来を見ている間に、歴史は我々を見ているからだ。

 

今はまさに贖罪の時だ。我々はその始まりを恐れ、恐ろしい時代の後継者になる準備ができていなかったが、その中で自分自身に希望と笑顔をもたらすための新たな物語を書く力を見出した。

 

かつては「どうしたら悲惨な出来事に打ち勝つことができるだろうか 」と考えていたが、今では我々は 「破局はどのようにして勝つことができるだろうか」と考える。

 

我々は過去に戻るのではなく、未来に向かうのだ。この国は傷ついている。しかし全体としては、慈愛にあふれていて、大胆で、力強く、自由だ。

 

我々は、不作為や怠惰が次の世代に受け継がれることを知っているので、もう恐怖に振り回されたり、邪魔されたりはしない。

 

我々の過ちは子どもたちの重荷になるが、一つ確かなのは、慈悲と力、そして権利と力を結びつければ、愛が我々の遺産となり、子どもたちは生まれながらにして恩恵を得ることになるだろう。

 

だから我々は、自分がいた頃の国よりもよい国になるようにしよう。私のブロンズの胸が呼吸するたびに、我々はこの傷ついた世界を驚異的な世界に育てていくのだ。

 

西部の黄金の丘から立ち上がろう。風の強い北東部から立ち上がろう。そこは我々の祖先が最初に革命を実現した場所だ。中西部の湖畔の町から立ち上がるのだ。日焼けした南部から立ち上がるのだ。我々は再建し、和解し、回復するだろう。我々の国の隅々で、我々の国のあらゆる場所で、多様で美しい我々国民は、打ちのめされながも、美しくなっていくだろう。

 

日が登れば、我々は恐れることなく、炎の陰から出ていく。恐れを解き放てば、新しい夜明けが来る。我々がそれを見る勇気があれば、我々がそれをする勇気があれば、そこにはいつも光があるのだ。

 

 彼女は2017年にニューヨークタイムスのインタビューで、

 

「これは遠い、遠い、とても遠い目標ですが、2036年、私はアメリカの大統領に立候補する」

 

とコメントしたようです。そして

 

「iCloudカレンダーに予定を入れておいて」

 

とも答えたようです。15年後のアメリカが楽しみだ。