【Field of Dreams / 映画】
2021.09.01いきなりですが、我が家には「Movie Night」という小さな家族イベントがあります。これは読んで字のごとく、休みの日の夜に家族や友人と一緒に映画を見ること。アメリカでは各家族に必ずあるイベントで。早めに夕食を食べ終え、ポップコーン等スナックを片手に家族揃って映画を観る。たったそれだけの小さな家族イベント。
「よし、明日はMovie Nightだ!」
みたいな話が出ると、ちょっとした映画鑑賞の準備に入り、当然の如く何を観ようか!?みたいな議論が始まるのだが、それがまた楽しい小さなイベント。家族会議の結果、先日のMovie Nightはクラシックムービー、「Field of Dreams」に決まった。
この映画は1989年公開されたケビン・コスナー主演の誰もが知っている不朽の名作。ウイリアム・パトリック・キンセラの小説 「シューレス・ジョー」 をフィル・アルデン・ロビンソン監督とハリウッドによって映画化された、野球をモチーフにしているが、実は夢と希望溢れるファンタジーで大人も子供も楽しめる作品。
「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」
このフレーズを聞いて、ぞくっとしてしまう40代以上の方々は多いのではなかろうか。実際私も野球に没頭していた10代の頃、初めてこの映画に触れ、それから少なくともこれまで10回以上は観ており、観るたびに必ず涙する思い出の名作。
映画の内容は、夢を失った中年ケビン・コスナーが妻と小さな娘とアイオワ州の片田舎に移住し、貧しいトウモロコシ畑を営むというところから始まります。ある日、主人公(ケビン・コスナー)がトウモロコシ畑で作業していると、どこからともなく
「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」
という声を聞き、家族以外誰も信じてくれない中、更にトウモロコシ畑で謎の幻影を見ます。それはナイター設備のある野球場。そしてグラウンドには一人の野球選手。その姿から伝説のメジャーリーガー、“シューレス”・ジョー・ジャクソンではないかと思い、彼は大切な自分の畑を潰して野球場を作ればジョー・ジャクソンが現れると信じます。
シューレス・ジョー・ジャクソンとは、シカゴ・ホワイトソックス所属であった伝説のメジャーリーガー。しかし1919年八百長事件「ブラックソックス事件」に関わったとして球界を永久追放された悲しい過去を持つ悲劇の名選手。
主人公は、何ひとつ冒険することなかった父のようになりたくないと、周囲の反対をよそにトウモロコシ畑を潰して野球場を作り始めます。当然の如く、保守的な片田舎の村では、その彼らの行動を快く思わない人たちが大半で文字通り村八分状態。しかし自分も妻も娘も街から孤立しながら、一心に自分たちの夢に向かって野球場を作り始めます。
野球場が完成しお金も無くなくなり、家計も苦しくなった1年後の夜、娘が野球場で一人の選手を見つけます。そこにいたのは確かに死んだはずのジョー・ジャクソンその人でした。
「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」
野球場を作ればやってくるという、その彼とは、シューレス・ジョー・ジャクソンだったのか??
ちなみにシューレス・ジョー・ジャクソンは試合が始まると外野スタンドのトウモロコシ畑からやってきて、試合が終わるとそのトウモロコシ畑に帰っていきます。彼らは夢の場所、「Field of Dreams」 から出ることは出来ないのです。
ここから物語は一気に動きますが、ネタバレになるのでここから先は記載しません。
主人公のケビン・コスナーは、家族を持ち中年となり、夢や希望もなく、ただ黙々と家族の為に生活する日々を過ごしていました。勿論彼はそれを幸せだと信じていたはずで、それが大人になるということだと理解していたのでしょう。夢や希望は青春時代のみが持つことのできる権利だと。
しかし夢や希望を持つこととは、人が何歳になっても持ち続けることが出来る素晴らしい権利であり、人生において最も大切なことだと気付かせてくれます。それは主人公だけではなく、後々登場する人物たちも教えてくれる心温まる素晴らしい映画です。
若い頃、達成出来なかった後悔、挑戦しなかった後悔、間違いを犯した後悔。人は皆必ず同様の感情を抱きながら人生を歩んでいるはずです。そんなモヤモヤした気持ちを勇気付けてくれる映画がこの 「Field of Dreams」 です。
「Field of Dreams」 = 「夢の野球場」 = 「誰しもの夢」
そして物語終盤、この映画が何故ファンタージー映画であるかという所以がこの会話。
「Is this heaven?(ここは天国? or これは夢?)」
「No, it’s Iowa.(いや、アイオワ州だよ or いや、現実だよ)」
これもまたこの映画によって有名になったフレーズ。映画の後半に出てくるやりとりですが、涙なくして見れない会話です。
久々にこの映画を観ましたが、久々にこの映画に感動し涙し、そして久々に明日からの活力となりました。人生の最後の時まで夢を観ることのできる人間でありたいなと、恐らく子供以上に強く感じたMovie Nightとなりました。
個性的な登場人物、感情移入しやすい心地よい音楽、全ての方にお勧めな不朽の名作です。