CEO blog   |  【青春って、すごく密なので ②】

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【青春って、すごく密なので ②】

2022.10.20

 さてYouTube見て頂いた方々は、そのスピーチの素晴らしさを感じて頂けたと思います。

 

 「宮城の皆さん、東北の皆さん、おめでとうございます!100年開かなかった扉が開いたので、多くの人の顔が浮かびました。」

 

 まず須江航監督優勝スピーチ冒頭部分ですが、いきなり聞く人の心をがっつりもっていかれます。通常であれば、「ありがとうございます!」っというふうに、自分もしくは自分たちが主語であるのが一般的ですが、彼のスピーチはいきなり 「宮城の皆さん、東北の皆さん」が主役なわけです。

 

 この入りから、聞いている人々の心をぐっと鷲掴みにします。特に、甲子園は優勝した際に受け取る、深紅の大旗は甲子園大会スタートした100年以上前から一度も陸路で白河越えをしてない(駒大苫小牧が北海道代表で優勝しているので津軽越えはしているが、これは空路だということ)

 要するに 「優勝旗の白河の関越え」 は東北地方の103年の悲願であったわけである。

 

 そしてスピーチはその後に、歴史に残る名フレーズが飛び出す。

 

 「入学どころか、たぶん、おそらく、中学校の卒業式もちゃんとできなくて、高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね。」

 

 「青春って、すごく密なので」

 

 「でもそういうことは全部『だめだ、だめだ』と言われて、活動していても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれたこと。」

 

 これを聞いたすべての大人が自分の学生時代を思い出したはずだ。「確かに自分たちの学生時代は密だったよな。今の子たちは、自分たちが普通に経験してきたことと、全く違う高校生活を過ごしているんだな」っと感じたのではなかろうか。

 

 スピーチで最も大切な要素とは、聞く人がいかに共感し自分事として捉えてくれるかどうかだと言われている。大人なら誰しも経験した学生時代の思い出を一瞬でプレイバックさせたこのフレーズ。今年の流行語大賞にノミネートされるであろうなんて言葉がチープに感じるほどの強烈なインパクト。

 

 そして最後の締め部分。

 

 「本当にすべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。」

 

 最後まで謙虚であり、冒頭部分同様、あくまでも主語は自分達ではなく、今回は全国の高校生を主役にする配慮。優勝直後の優勝インタビューなわけだから、準備はおろか普通であれば興奮で何を言っているのか分からなくなるであろう。しかしこの落ち着きとかみしめる様な一つ一つ丁寧な言葉遣い。

 

 これ書きながら、もう一度動画を見てまたウルッと来てしまった・・・。