「勝者の文化」はこうして創られる
2025.11.09ドジャースの2025年ワールドシリーズ制覇は、単なる選手層の厚さやスター選手の揃い踏みだけで達成されたわけではありません。その背景には、強固な組織文化と、“個の覚悟”を最大限に活かすマネジメントの存在がありました。
山本由伸の魂の投球、大谷翔平の沈着冷静なリーダーシップ、そして佐々木朗希のフレッシュな存在感。いずれも極めて優秀な個人であると同時に、「チームの勝利」を最優先にする精神性が貫かれていました。これは、勝者の文化を育む上で極めて重要な要素です。
多国籍で構成されるメジャーリーグ球団において、「個性」と「協調」をどう両立するかは永遠の課題です。異なる価値観、言語、育った環境。その中で結果を出すには、“全員が一丸となる”だけでは不十分。各選手が「自分の役割と責任」を理解し、それを徹底してまっとうする“プロ意識”が欠かせません。
今年のドジャースはまさにそれを体現していたと言えます。たとえば、山本投手が第7戦のクローザーを志願した裏には、チームメイトや首脳陣の信頼、コンディション管理チームとの密な連携、そして「信じられている」という確信がありました。その「信頼される組織風土」こそが、極限状況下での判断と挑戦を後押ししたのです。
ビジネスの現場においても同様です。変化が激しく、競争の激しい環境下で、個人が100%の力を発揮できるかどうかは、組織の空気や上司の覚悟に大きく左右されます。メンバーのチャレンジを支え、時に任せる勇気を持てるリーダーがいるか。その積み重ねこそが、やがて“勝者の文化”を築くのです。
またドジャースの勝利には「競争と共創のバランス」がありました。主力が競い合いながらも互いを称え、若手を育て、控えの選手も出番に備えて常に準備している。全員がチームの勝利のために自分にできる最善を考えて行動していたことが、シリーズを通して見て取れました。
これはまさに、今私たちが組織づくりにおいて目指すべき姿ではないでしょうか。一人ひとりが「自分の出番は必ず来る」と信じ、常に全力で備える。そしてその舞台が来たときに、迷わず、恐れず、飛び込む勇気を持てる環境。それを整えるのは、経営者やリーダーの責任です。
2025年のドジャースが成し遂げたことは、「勝つべくして勝った」結果であり、「信じ合い、任せ合い、引き出し合う」カルチャーが支えた勝利でした。そしてそれは、すべての企業組織にも通じる“再現性のある成功モデル”でもあります。
スポーツとビジネスの本質は、「人を信じ、人に任せ、そして人を動かす力」にある。その原点を、ドジャースというチームから私たちは改めて学ばせてもらいました。



