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【Cooのふるさとへ ~後編~】

2025.09.01

 私たち家族が訪れたのは、レドンドビーチの丘の上。

かつて住んでいた家のすぐ横に広がる海沿いの芝生、Cooが毎日駆け回っていた場所でした。

 15年前と変わらず、海沿いの午前中は気温が低いためどんよりと雲が流れ、海風のやわらかさ、そして芝生の感触、そして目の前に広がる景色は、当時のままでした。ピアの先端が海にのびるその光景を見た瞬間、まるで昨日のように、Cooと過ごした時間が鮮明に心によみがえりました

 

 Cooは、ウェールズ原産のウェルシュ・コーギー・ペンブローク。温暖で湿気の少ないカリフォルニアのような気候が、彼女にとって最も心地よい場所だったと思います。日本の夏は少し苦手そうだったけれど、雪が降る鳥取の冬は本当に嬉しそうで、まるで子犬のように走り回っていた姿が、今も忘れられません。

 

 私たちは、事前に用意していた小さな遺灰入れを開け、一人ずつ彼女の灰を手に取り、そっと芝生の上に還していきました。声は出さずとも、それぞれの胸の中には、「ありがとう」と「おかえり」が、確かに存在していました。

 

 この瞬間、人生でも感じたことがないようなスピリチュアルな気持ちに包まれ、自然と涙がこぼれました。しかしそれは悲しさだけではなく、何か温もりにも包まれ、心から穏やかな気持ちとなりました。確かに彼女は15年前、この芝生の上で楽しそうに走り回っていた。毎朝ここに来るだけで、フリスビーはいつ投げるのかと私を見つめていたCoo。日本に移住した後も、本当はこの芝生の匂いを懐かしんで、帰ってきたかったんだろう。

 

 そして最愛のCooが、ついに生まれ育ったアメリカの地へ、そして大好きだったあの芝生へと還ってきました。

 

Welcome back to your HOME TOWN, Coo.

 海も風も、芝生も、そう言ってくれているように感じました。

5人だった家族が、4人家族となった私たちの心にも、その声は確かに聞こえていました。

 

 彼女がいたからこそ、私たちは一緒に笑い、支え合い、家族としての絆を深めてこれたのだと思います。

それはCooは私たちにとって、ただのDogではなく、「Family Member」 そのものであったからです。

 

 昨年11月、我が家はおそらくこれまでの人生で最も悲しい出来事を経験しました。そして5人家族が4人家族となり、各々が耐え難い喪失感の中、日々の生活してきました。しかし、今回このTripの最大の目的である、我が家のセレモニーを無事終わらせ、やっと心の整理と気持ちに一区切りが出来たように感じます。

We are forever grateful for fifteen wonderful years together. We look forward to the day we meet again on that peaceful grassy hill. The days we spent with you will forever remain a treasure in our hearts.

 

昼を迎え午後になり、気が付けばRedondo Beachの空はあの頃のように快晴となっていました。
 

Rest in Peace, dear Coo.

Redondo Beach, California your home, always.

 

with all our LOVE.

【Cooのふるさとへ ~前編~】

2025.08.31

 この8月は仕事のため北米に滞在しており、展示会視察、商談、メキシコ工場の訪問など、多忙な日々ではありましたが、今回は少しだけ特別なプライベートプランがありました。

 

 実は今回日本から家族を呼び寄せて、6年ぶりに家族4人での旅行を実現できました。本当に久しぶりに家族そろってことで、以前からお世話になった仲間や友人、恩人の方々とお会し、成長した子供たちを会わせることで、非常に楽しく大切な時間を大切な方々と共有するというありがたい時間となりました。

 

 最後に家族全員揃って北米来たのは、まだコロナ前の2019年。コロナが落ち着いた頃には、我が家の愛犬Cooが高齢となり、病を抱え、常に誰かが介護のために家にいなければならない状況でした。だからこそ、“家族が揃う”ということ自体が、私たちにとっては特別なこと。

 

 だからこそ今回の旅行は、ただの「家族旅行」ではありませんでした。
実はこの旅には、我々にとって非常に大切な目的がありました。

 

 それは昨年11月に亡くなったCooを“ふるさと”に還してあげること。

 

 Cooは2009年にアメリカ・サウスダコタ州で生まれ、私たちがかつて暮らしていたカリフォルニア州レドンドビーチの家に迎え入れた、本当にかけがえのない存在。一般企業で働いていた当時の私は、今以上に仕事で忙しく、出張で全米中をかけまわっており、それこそ家には今以上に不在にしている状況でした。そんな私たちにとってCooは心の癒しであり、毎日を整えてくれる存在でした。

 

 彼女が家に来てからの私はの生活は一変し、必ず毎朝6時から近所を散歩し、海沿いの芝生でフリスビーで彼女と遊ぶのが日課となり、家の横のレドンドビーチの丘の上にある、その芝生の広場、そこが私たちとCooが何よりも愛した場所。

 

 あれから15年。彼女は日本で家族とともに年月を重ね、たくさんの笑顔と愛を残して昨年11月に静かに旅立ちました。だからこそ私たちは、今回の旅行でCooが大好きだったその芝生に、家族揃って彼女を還しに行こうと決めていたという流れです。

 

 家族で過ごす時間、再会した友人たちとの語らい、そして何より、Cooとの約束を果たすための旅。それは、私たち家族にとって何ものにも代えがたい、深く静かな時間となったのです。

【メキシコ工場、確信した“成熟”】

2025.08.19

 約1年ぶりに、メキシコ・ティファナにある弊社の工場を訪問してきました。

 

 本来メキシコという国は、製造現場においてオペレーターの離職率が高く、人の入れ替わりが激しいという特徴があります。しかしながら、当社のティファナ工場ではここ数年その傾向が大きく改善されており、今回の再訪でも1年前とほぼ変わらぬメンバーたちと再会することができました。

 

 メンバー交代が少ないということは、仕事の質とスピード、そしてチームとしての成熟度が着実に蓄積されるということ。実際、今回の現場でもその成長は明らかで、全体のクオリティの高さ、そして現場の雰囲気の良さには目を見張るものがありました。明るく、前向きに仕事をしてくれる彼らの存在が本当に誇らしく思えました。

 

 メキシコ工場の立ち上げから9年。ここまでの環境を築けたのは、初期から尽力いただいた日本人メンバーである山田さん、田中茂さん、そして現在駐在中の前橋さんをはじめとした日本人と、現地メキシコ人・アメリカ人のマネジメント陣との融合があってこそだと強く感じます。これまで関わってくださったすべての皆様に、心から感謝申し上げます。

 

 特に、単身で現地に駐在し、現場をまとめてくれている前橋さんの成長には、感動すら覚えました。リーダーとしての判断力、スピード、そして視野の広さ…どれを取っても日本にいた頃とは別人のような逞しさでした。表では常に笑顔を絶やさず、裏では誰にも見えない努力と苦労を積み重ねてきた彼の姿に、心から敬意を表したいと思います。

 人も組織も、環境が大きく変わるときにこそ、大きく成長する。負荷なくして成長なし。これは経営者としても、改めて胸に刻むべき原理原則だと再認識させてもらいました。

 

 前橋さん、そしてメキシコ工場の全メンバーの皆さん、本当にありがとうございました。改めて、私たちの“ティファナ工場”というチームと拠点に、心からの誇りを抱いています。

 

Maebashi-san, y a todos los miembros de nuestra planta en México, muchas gracias de corazón. Una vez más, me siento profundamente orgulloso del equipo y la base que hemos construido en nuestra planta de Tijuana.