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【Field of Dreams / 現実】

2021.09.10

 前回、【Field of Dreams / 映画】を記載しましたが、これは当然フィクションでありファンタジー映画。ハリウッド映画であって現実ではない。しかしアメリカのショービジネスは、映画をも現実に導き出す。(これが商魂たくましいと揶揄することを含めても)

 

 先月8月12日、MLB(メジャーリーグベースボール)は、ヤンキース-ホワイトソックスの試合を、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台、アイオワ州ダイアーズビルで開催した。なんと映画と同じくトウモロコシ畑に新しい球場を作ったのだ。しかも映画撮影で使われた球場の隣に、たった一試合の為だけに新しい球場を作り上げるMLB。

 

 まあYouTubeを見てほしいですが、試合前の演出からオシャレというか、惹きつけられます。

 

 映画の主役であったケビン・コスナーが、トウモロコシ畑から登場するところからこの現実はスタートするのです。カメラはトウモロコシ畑の中を歩くケビン・コスナーの背中からの映像をゆっくり追いかけます。そして、映画と全く同じ音楽がフィールドに響き渡ります。トウモロコシ畑を潜り抜けた先には、まさに映画のそれに近い現実の球場。しかしスタンドだけが大きくなっており、待ち受けていた大勢のファンがケビン・コスナー登場で小さな田舎町に大歓声が鳴り響きます。

 

 そしてダイヤモンド近くまで歩いたケビン・コスナーが辺りを見渡すと、なんと外野のトウモロコシ畑からヤンキースとホワイトソックスの選手が現れます。映画のメジャーリーガー達と全く同じ登場の仕方に、TV越しに自分に鳥肌が立ったことが分かりますし、当然球場のボルテージは急上昇。

 

 そして両チームの選手が登場した段階で、ケビン・コスナーのスピーチが始まります。更にそのスピーチの最後に、彼が観客に語り掛けます。

 

「Is this Heaven?(ここは天国かい?)」

 

 そう映画と全く同じフレーズで、その瞬間観客のボルテージはMAX興奮状態。30年の時を経て、映画は現実として戻ってきたのです。

 

 この試合はTVとストリーミングを合わせ、なんと約600万人の視聴者を試合を見たとのこと。MLBの試合として、レギュラーシーズンとしては2005年以後、最高の数字らしい。試合後、「映画 / Field of Dreams」の売上はAmazonで3,000位台から一気に6位にまで上昇したらしい・・・。

 

 しかしまあなんとも夢のような演出、夢のような時間でした。更に言えば、その現実の試合内容も映画さながらというか、映画や漫画でも作れないような劇的な幕切れを迎えます。あのルーズベルトゲームを超える劇的なエンディング。是非見てほしいという試合です。

 

 もちろんこれはビジネスの側面が大きく、ここには大きなマネーゲームの上に成り立っていた現実の試合でしたが、本当に夢のあるイベントでした。アメリカのショービジネスの凄まじさを思い知ったことは勿論ですが、私にとって今年一番のMLBゲームでした。

 

 これもまた、「夢は現実になる」っということかもしれません。幸せな時間を貰ったことに、ただただ感謝です。

 

  • 宜しければ、下記YouTubeリンクで御覧ください。

 

https://youtu.be/jbmZ1Oz_nTg


【Field of Dreams / 映画】

2021.09.01

 いきなりですが、我が家には「Movie Night」という小さな家族イベントがあります。これは読んで字のごとく、休みの日の夜に家族や友人と一緒に映画を見ること。アメリカでは各家族に必ずあるイベントで。早めに夕食を食べ終え、ポップコーン等スナックを片手に家族揃って映画を観る。たったそれだけの小さな家族イベント。

 

 「よし、明日はMovie Nightだ!」

 

 みたいな話が出ると、ちょっとした映画鑑賞の準備に入り、当然の如く何を観ようか!?みたいな議論が始まるのだが、それがまた楽しい小さなイベント。家族会議の結果、先日のMovie Nightはクラシックムービー、「Field of Dreams」に決まった。

 

 この映画は1989年公開されたケビン・コスナー主演の誰もが知っている不朽の名作。ウイリアム・パトリック・キンセラの小説 「シューレス・ジョー」 をフィル・アルデン・ロビンソン監督とハリウッドによって映画化された、野球をモチーフにしているが、実は夢と希望溢れるファンタジーで大人も子供も楽しめる作品。

 

 「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」

 

 このフレーズを聞いて、ぞくっとしてしまう40代以上の方々は多いのではなかろうか。実際私も野球に没頭していた10代の頃、初めてこの映画に触れ、それから少なくともこれまで10回以上は観ており、観るたびに必ず涙する思い出の名作。

 

 映画の内容は、夢を失った中年ケビン・コスナーが妻と小さな娘とアイオワ州の片田舎に移住し、貧しいトウモロコシ畑を営むというところから始まります。ある日、主人公(ケビン・コスナー)がトウモロコシ畑で作業していると、どこからともなく

 

 「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」

 

 という声を聞き、家族以外誰も信じてくれない中、更にトウモロコシ畑で謎の幻影を見ます。それはナイター設備のある野球場。そしてグラウンドには一人の野球選手。その姿から伝説のメジャーリーガー、“シューレス”・ジョー・ジャクソンではないかと思い、彼は大切な自分の畑を潰して野球場を作ればジョー・ジャクソンが現れると信じます。

 

 シューレス・ジョー・ジャクソンとは、シカゴ・ホワイトソックス所属であった伝説のメジャーリーガー。しかし1919年八百長事件「ブラックソックス事件」に関わったとして球界を永久追放された悲しい過去を持つ悲劇の名選手。

 

 主人公は、何ひとつ冒険することなかった父のようになりたくないと、周囲の反対をよそにトウモロコシ畑を潰して野球場を作り始めます。当然の如く、保守的な片田舎の村では、その彼らの行動を快く思わない人たちが大半で文字通り村八分状態。しかし自分も妻も娘も街から孤立しながら、一心に自分たちの夢に向かって野球場を作り始めます。

 

 野球場が完成しお金も無くなくなり、家計も苦しくなった1年後の夜、娘が野球場で一人の選手を見つけます。そこにいたのは確かに死んだはずのジョー・ジャクソンその人でした。

 

 「If you build it, he will come.(もし君がそれを作れば、彼がやって来る)」

 

 野球場を作ればやってくるという、その彼とは、シューレス・ジョー・ジャクソンだったのか??

 

 ちなみにシューレス・ジョー・ジャクソンは試合が始まると外野スタンドのトウモロコシ畑からやってきて、試合が終わるとそのトウモロコシ畑に帰っていきます。彼らは夢の場所、「Field of Dreams」 から出ることは出来ないのです。

 

 ここから物語は一気に動きますが、ネタバレになるのでここから先は記載しません。

 

 主人公のケビン・コスナーは、家族を持ち中年となり、夢や希望もなく、ただ黙々と家族の為に生活する日々を過ごしていました。勿論彼はそれを幸せだと信じていたはずで、それが大人になるということだと理解していたのでしょう。夢や希望は青春時代のみが持つことのできる権利だと。

 

 しかし夢や希望を持つこととは、人が何歳になっても持ち続けることが出来る素晴らしい権利であり、人生において最も大切なことだと気付かせてくれます。それは主人公だけではなく、後々登場する人物たちも教えてくれる心温まる素晴らしい映画です。

 

 若い頃、達成出来なかった後悔、挑戦しなかった後悔、間違いを犯した後悔。人は皆必ず同様の感情を抱きながら人生を歩んでいるはずです。そんなモヤモヤした気持ちを勇気付けてくれる映画がこの 「Field of Dreams」 です。

 

 「Field of Dreams」 = 「夢の野球場」 = 「誰しもの夢」

 

 そして物語終盤、この映画が何故ファンタージー映画であるかという所以がこの会話。

 

「Is this heaven?(ここは天国? or これは夢?)」

「No, it’s Iowa.(いや、アイオワ州だよ or いや、現実だよ)」

 

 これもまたこの映画によって有名になったフレーズ。映画の後半に出てくるやりとりですが、涙なくして見れない会話です。

 

 久々にこの映画を観ましたが、久々にこの映画に感動し涙し、そして久々に明日からの活力となりました。人生の最後の時まで夢を観ることのできる人間でありたいなと、恐らく子供以上に強く感じたMovie Nightとなりました。

 

 個性的な登場人物、感情移入しやすい心地よい音楽、全ての方にお勧めな不朽の名作です。

 


【人間の可能性の祭典】

2021.08.30

 オリンピックに続き、パラリンピックが開催されている。通常のオリパラであれば、なかなか目にする機会の少ないパラリンピックだが、東京開催ということもあり通常大会より視聴している方が多いかと思います。

 

 そのパラリンピックでパラアスリート初のJPC(日本パラリンピック委員会)委員長は、通算金メダル5個を含む21個のメダルを持つレジェンド河合純一さん。彼のコメントが、パラリンピックの全てをものがたるように感じる。

 

「よくオリンピックは平和の祭典といわれるが、パラリンピックは、人間の可能性の祭典。もっている可能性を発揮することが、人々が自分自身がもっている可能性に気づくことにもなり、想像をこえるパフォーマンスに触れた方々が、ご自身のなかにあるかもしれない無意識のうちにもつ心のバリアを取り除く力ももっているのではないか。」

 

 なるほど、おっしゃる通りだとただただ頷いてしまうコメントだ。この言葉を思いながらパラリンピックを見ると、まさにこれぞ言い得て妙。人間の可能性は無限だ。毎日のようにそれを感じされるパラアスリートの方々に、人間の可能性が無限大だということを教えられることばかりですね。

 

 そんな中、紹介したい素晴らしいアスリートの方がいらっしゃいます。

 

<メリッサ・タッパー(卓球)>

卓球のメリッサ・タッパー選手は、2016年のリオ大会でオーストラリア人として初めて、オリンピックとパラリンピックの両方に出場しました。先日、東京オリンピックの切符も獲得しており、2大会連続でオリパラの両方に出場することになります。

8歳で卓球を始め、右腕に麻痺などが起こる腕神経叢損傷という障がいを持ちながらも、18歳の時には健常者の選手も含めたジュニアアスリートのトップランク入りを果たしています。オーストラリアで開催された2018年のコモンウェルスゲームズのパラ卓球で、オーストラリア人初の念願の金メダルを獲得しました。

「パラアスリートであろうと、健常者のアスリートであろうと同じアプローチでそこに向かうだけ」「私の頭の中では、パラとか健常者とかの区別はありません」と、Tokyo 2020のインタビューで語っています。

 

 オリンピックに出場するだけでどんなに凄いことかと思いますが、彼女はパラリンピックにも出場という、まさに途方もない偉業です。我々一般人は、知らないうちにオリンピックは健常者の大会、パラリンピックはそれ以外の方々の大会と決めつけていますが、そんなことはないというのを彼女が証明してくれています。

 

 これこそ河合純一さんがおっしゃる「人間の可能性」に他ならないでしょう。

 

 我々も知らないうちに、年齢を重ねるごとに「経験や常識」によって、「人間の可能性」即ち「個々の可能性」を封じ込めていることが多々あるでしょう。それは間違いなく人生においてマイナスにならずとも、プラスにならないことなはずです。何故ならば可能性とはポテンシャルであり、それは必ずポジティブ要素であるからだと私は信じます。

 

 チャレンジすることの大切さを、パラアスリートから刺激と共に教えられる毎日です。もしかしたら「チャレンジ」とは、「人間の可能性」に向けた言葉かもしれませんね。この可能性こそ、全ての方々に平等に宿っている大切な要素です。人は死ぬまで成長できるということです。

 

 明日からまた頑張ろう!っという強い気持ちになりますね。