CEO blog

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【身近なイノベーション&マーケティング】

2019.02.19

 クライアントさんの駐車場で5分ほどの待ち時間があったので、車内で何気なくTVニュースを見ていたら、「ポテトチップス」のニュース。普段そんなにお菓子を食べないので、平和だな~っとPCしながらぼけ~っと聞いていたら、「レンジ de ポテリッチ」という商品名が耳に入る。

 

 「ん!?」っとばかりに、一瞬で私はそのフレーズに持っていかれた。直感的に凄い!っと心の中で唸った。

 

 本来ポテトチップスは、西洋の家庭料理だ。ポテトチップスを温めるなんて!って気味悪く思う方は、まず考えてほしい。マクドナルドのフライドポテトは温かい方が絶対に美味しいのは一目瞭然。もっとこじ付けすれば、天ぷらは揚げたてが一番美味いに決まっている!

 

 そうポテトチップスは揚げ物なんです!揚げ立てが美味いに決まっている。そもそもポテトチップスはスナックお菓子だっていう固定観念から我々は決めつけているということです。

 

 実は欧米ではポテトチップスとはお菓子だけという定義ではないんです。誰もが知っている通り、欧米人のランチはサンドイッチが超定番。日本人で言うならば、おにぎりですよね。このサンドイッチに、ポテトチップスを添えて持ってくるのが一般的。サンドイッチだけじゃなく、街のスタンドでホットドッグを注文すると必ずと言っていい程、小さなポテトチップスが付いてきます。

 

 マクドナルドでバーガーを頼むと、ほぼ必ずフライドポテト頼みますよね?あれと同じなんです。

 

 まあ余談は置いておいて、その温かいポテトチップス。よくよく考えてみると、子供のころジャガイモをスライスして作ったことも思い出しました。薄くスライスするのが難しく、どうしてもカリッと揚がらないのが残念でしたが、似た経験された方も多いでしょう。

 でも家で揚げると、スナックっていうより料理に近い感じになるのは不思議でした。

 

 さてさて、その後お客さんと話しながら私の頭は、この「レンジ de ポテリッチ」一色・・・。食べてみたい・・・。しかし味は大体想像つく・・・。でもコンセプトが最高・・・。ニュースではファミマ限定商品らしい。って聞くと、ますます買いたくなる・・・。

 

 何故私の興味をここまで鷲掴みにしたのか?言い過ぎかもしれませんが、これは「イノベーション」であり、「マーケティング」の極みだと感じたからです。

 

 誰でも食べたことのある超身近なスナックであるポテトチップスを、誰でも考えそうなシンプルな手法で、誰も大々的にやってことなかったことをやることがイノベーションなんです。カルビーさん曰く2年半開発にかかったということですが、実際ゼロからの新商品開発に費やす費用程、これに投資がかかったとは思えません。

 難しかったのはせいぜいレンジ対応できる包材くらいでしょうか。

 

 また販売がファミマ限定というのが巧みな手法で、ますます私の興味を持っていかれます。この商品は必ず1週間もすれば売り切れる可能性が大だ。っとなると、今しか食べれないかも。っと思うと更に購買意欲をくすぐります。

 完全にカルビーマーケティングの手のひらで転がされ・・・。

 

 私は打ち合わせ終わり、結局オフィスに戻る道中に、我慢出来ずファミマへゴー。よし、まだあった!!既にいくつか売れているがまだ購入できる!早速2袋を掴んでレジへ向かい購入!

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 オフィスに戻り、夕方定時終了となったところで、弊社販売系業種メンバーに声をかけて皆で試食。

 

 営業をはじめ、販売会社に所属するメンバーにはどうしてもこれを食べてほしかったので。「イノベーション」と「マーケティング」のトピックに、ワイワイと楽しく食べながらあ~でもない、こ~でもないと話しながらの試食。

 

 味はやっぱり美味しかったですね。想像通りの部分と、想像以上の部分もありましたし。やはり温かいと風味が際立つというか、味も濃厚に感じるんですよね。これはポテトチップスであってポテトチップスではないという感覚。

 シンプルな表現で言うと、「あり!」な商品という感想。

 

 しかしカルビーさん、流石です。このマーケティング手法に感服です。現代はニュースに取り上げられると、必ず一般人に波及し、それがSNSで一気に拡散される。まさに現代マーケティングの王道です。この手法、何が凄いって上記だけで言えばほぼコストがかからない。CMやら広告なくってもこれだけ波及するんです。

 

 たぶんですが、もう数日すればこの商品は欠品騒ぎになるかもですね。

 

 もう一つ凄いのは、元々ある「ポテトチップス」に、ひと工夫かけただけだってことです。誰でも思いつきそうで、誰もやってこなかったことをさらっとやってしまうことが「イノベーション」です。日清カップヌードルのごはんバージョンや、ガリガリ君の不思議フレーバーなんかと一緒ですよね。

 

 ゼロから開発するんではなく、今あるものにひと工夫で、巨大マーケットを創りあげる。そこには値段競争だけのデフレ戦略にはない世界が広がります。

 

 ちなみに私は急いでいたということもあり、値段も見ないで買いました。興味>値段 であったから、商品掴んでレジに走ったということでしょうか。

 

 身近に素晴らしい教材やチャンスはゴロゴロと転がっていることを、改めて実感しました。安い授業料で、深い授業を受けさせてもらった気分です。何度も言いますがカルビーさん、いや~凄いというか、凄まじいですね~。

追記: カルビーは2月22日、上記商品を自主回収し、同日付で販売中止にすると発表した。消費者から焦げや発煙・発火したとの苦情が出たためであるようです。


【武田製薬 M&A ②】

2019.02.09

 前回ブログで話した内容のポイントは、「R&D」とは研究開発(けんきゅうかいはつ、英語: Research and Development)

 

 今回話したいポイントは、「攻める姿勢」だ。武田製薬とは、言わずと知れた製薬メーカーの老舗であり、日本No.1と同時に、世界でも16番目のメガ企業だ。創業は1781年、200年以上の歴史を持つ、正真正銘の名門企業である。

 

 そんな武田製薬が上を目指すことに対して、創業家を含めたOBや株主、更には各界から反対意見は多数あるようだ。当然日本純血で進めたい思いや、拡大路線に対するリスクを危惧するからであろう。何故ならば、今回の買収額は7兆円。更にはシャイアーが抱える1兆5,000億円の負債も引き継ぐ契約内容であり、日本国内過去最大金額であるが故、当然反対勢力は鼻息荒いようだ。

 

 これにより、武田製薬は世界第9位に躍進するらしい。しかしシャイアーは本来武田製薬より売り上げ規模が大きな企業である。そう、小が大を飲み込むM&Aということだから、まるで映画やドラマの世界。

 

 反対多数の中、このシャイアーを飲み込むM&Aの先陣を切っているのは、フランス人社長クリストフ・ウェバー氏だ。いわゆる外部から来たプロ経営者であり、公表しているなんと年収は約10億円。外国人経営者だな~っという印象。

 

 まあ彼の年収が高いかどうかは、またの機会ということで、今回はこの「攻める姿勢」がポイントである。

 当然のごとく、この買収がリスクが高いものであることは疑いの余地もない。外野になればなるほど、あーでもないこーでもないと無責任なコメントを吐く。しかし彼は、この8兆5000億円という途方のない数字に、「価値」があると算段したから攻めたのであろう。

 

 この場合、「リスク」とは二通ある。

「攻めるリスク」 vs 「攻めないリスク」

 

 人はこの比較対象を持って論議をしないから、一方通行の意見ばかりでおかしな理屈がうまれる。わかりやすく言うと、下記の理屈だ。

 

「攻めて失敗する確率」 vs 「攻めないで失敗する確率」

 

 ビジネスとは、正解というか100%という絶対的な数字は無い。攻めても失敗するかもしれないし、攻めなくても失敗するかもしれない。経営者とは、この確率の低い方を選択するのが当然であり今回のウェバー氏は前者を選択したということであろう。

 

 高度成長期を迎える発展途上国であれば、攻めないでも躍進出来る可能性は高い。しかし成熟した社会、そして日本のように確実に人口が減ると分かっている国、即ちマーケットが縮小すると思われている国でのビジネスは、リスクを取らない限り必ず衰退するのは小学生でもわかる理屈だろう。

 

 世界は空前の好景気を迎えている。これをチャンスと捉えるかどうかはそれぞれの考え方だが、逆に言えば、今攻めなくていつ攻めるんだろうと考える時が来ていると感じる。

 

 武田製薬の攻めることを批判するのであれば、武田製薬が攻めなかったときのリスクも持ち出して議論するのが、あるべき姿ではないだろうか。

 

 もちろんその答えは現時点で誰も分からない。しかしビジネスは結果が全てであるということは、誰でも分かっていることだから。何を言おうがビジネスの世界で失敗した者は、ビジネスの世界では敗者であるから。特に倒産が絶対に許されない日本社会では尚更だ。

 

 

 


 


【武田製薬 M&A ①】

2019.01.31

 年末から年始にかけて日本企業のメインニュースは、説明するまでもなく日産カルロスゴーンニュース。ゴーンショックという言葉まで生まれているらしいこのニュースは、当然のことながら私もかなりのショックを受けました。

 

 しかしながら、タイミング的に少し陰に隠れた感もありますが、武田製薬の「シャイアー買収」ニュースは本来であればニュースの連日トップを飾ってもおかしくない巨大プロジェクトでしょう。何故ならば単純に買収価格7兆円という規模であり、これが成立すると武田は売上高で世界9位となるからである。もちろん日本国内企業のM&Aとしては過去最高金額。

 

 企業とはある程度、外部の血を入れない限り行き詰ってしまうものだ。M&Aに対してマイナスイメージがある方も多いかと思うが、本来血の活性化という意味では企業にとって非常に効果的な経営手法だ。内ばかり見ていても外は決して見えなくなる。いい企業と思っている会社ほど、井の中の蛙となるということも多々あるはずだ。

 

 日本国内の製薬企業は一見華やかに見えるが、世界的に見ればガラパゴス化の典型らしい。このままではグローバルの波が日本に押し寄せた際に、耐えうるだけの体力が足りないというのが一般的な見解。その体力とはもちろん財力であるが、同時に言われるのが製品開発力。即ち「R&D」だ。

 

「R&D」とは研究開発(けんきゅうかいはつ、英語: Research and Development)のことである。

 

 日本は、意外とこの「R&D」を軽視する企業が多い。これが海外企業に負ける一因ともいわれる。そして大きなポイントだが、「R&D」とは基本的に大企業が有利である。何故ならば、研究開発とは莫大な経費がかかるし、大型投資がしっかり出来る企業が絶対的に有利であるからである。製薬企業など、その最たるものであろう。

 

 特にこの製薬業界は、新薬の開発、即ち特許が終わる段階までに進めないとならないらしい。

 

 今回のM&Aニュースで、私が注目する点は、この「R&D」と「攻める姿勢」である。これからの企業未来の根幹は、今まで以上にR&Dになるだろう。要するに他社にない、「唯一無二」の強みを作りあげる企業が勝つということだ。そこに人財や投資がしっかり出来る組織を作っている企業が生き残る時代がより濃くなるだろう。

 

 「R&D」 ⇒ 「唯一無二」 ⇒ 「企業バリュー」に繋がることは、誰でも理解できることだが、これが今まで以上に生き残るためのポイントになるということだ。

 

 これは同じく人財にも言えるだろう。誰でも出来る仕事を行う人材より、唯一無二の個性を持った人財が必要とされる時代。これこそAI時代の中での、人財バリューそのものだから。

 

 そのために、このM&Aを進める判断をしたのであろうが、創業家は反対しているということのようだ。この件はまた次回に。