CEO blog

CEO blog

【青春って、すごく密なので ③】

2022.11.01

 今回この仙台育英・須江航監督の優勝インタビューがあまりにもインパクトあったので、この須江監督という人物を調べてみた。

 

 須江監督、実は東北出身ではなく埼玉県出身で、高校から仙台育英高校に進学したとのこと。そして驚いたのは、失礼ながらプレーヤーとしては大成していない。高校時代は2年からグランドマネジャーという立場になり、3年時の甲子園ではプレーヤーではなく、記録員としてベンチ入り。卒業後も、青森の八戸大学へ進学し野球部では1年時から学生コーチ。

 

 結果的に選手としては全く脚光を浴びていない。そして指導者となり仙台育英中学で全国制覇をし、その後仙台育英高校の監督に就任したという流れのようだ。

 

 実はこのパータンは極めてアメリカスポーツの指導者的な流れである。例えばMLB(メジャーリーグ)の監督で選手として有名であった人は皆無に近い。逆に日本は選手時代に無名な監督など、皆無に近いというか実質的に皆無だ。アメリカではメジャーリーグでの選手経験のない監督の方が多いはず。

 

 これは日本における監督とは、親会社の興行目的という要素が強い流れである為でもあるが、アメリカは指導者とは名プレーヤーである必要性は無いということが常識であり、監督になる人間は徹底的に指導者という勉強をした上でその立場に立つ。

 

 分かりやすく言うと、Jリーグなどのサッカー界では指導者ライセンス制度が世界的に定着しているが、この考え方に近い。(サッカーの方が圧倒的に先を進んでいるが)

 

 須江航監督は別のインタビューで、この記録員やグランドマネジャーでの経験が今でも大きく役立っていると語っている。

 

 なるほど!だからあのフレーズが出るんだなと心から納得した。

 

 高校野球はあまりにも大きなコンテンツになってしまったが、私の持論は「高校野球はイチ部活である」ということ。自身も高校野球をやっていた身としては、部活であり教育であることが大前提であり続けてほしいと常に思うが、それが見にくくなるほど巨大コンテンツに成長してしまったのが甲子園である。

 

 世界中の全てのスポーツコンテンツを探しても、アマチュアでしかも高校生の大会で、5万人が連日満員になり、TVで高視聴率をたたき出すのはおそらく世界で甲子園大会のみなはずだ。勿論、47都道府県の代表がおらの町の為にと、重ね合わせ一喜一憂できることは素晴らしいことであるし、自分も毎年鳥取代表を応援し続けている。

 

 しかしやはり高校野球とは人間形成の教育の場なんだということを、再度教えてくれた名スピーチであった。そして高校生だけではなく、我々大人に対しても素晴らしいコーチングをしてくれたと、強く強く感じさせてくださった、それこそ球史に残る名スピーチであったと確信している。

 

「青春って、すごく密なので」

 

 密という言葉はこの2年半、ネガティブでしか感じられないワードになっていたが、須江監督が使うとマジックのように全ての人にポジティブに伝わる名言となった。そして彼が別のインタビューでこんなことを語っていた。

 

「彼らが大人になったときに、きっと凄いことをやり遂げる世代だと信じています」

 

 またしても心を揺さぶられる、須江監督の言葉の力に感服してしまった。


【青春って、すごく密なので ②】

2022.10.20

 さてYouTube見て頂いた方々は、そのスピーチの素晴らしさを感じて頂けたと思います。

 

 「宮城の皆さん、東北の皆さん、おめでとうございます!100年開かなかった扉が開いたので、多くの人の顔が浮かびました。」

 

 まず須江航監督優勝スピーチ冒頭部分ですが、いきなり聞く人の心をがっつりもっていかれます。通常であれば、「ありがとうございます!」っというふうに、自分もしくは自分たちが主語であるのが一般的ですが、彼のスピーチはいきなり 「宮城の皆さん、東北の皆さん」が主役なわけです。

 

 この入りから、聞いている人々の心をぐっと鷲掴みにします。特に、甲子園は優勝した際に受け取る、深紅の大旗は甲子園大会スタートした100年以上前から一度も陸路で白河越えをしてない(駒大苫小牧が北海道代表で優勝しているので津軽越えはしているが、これは空路だということ)

 要するに 「優勝旗の白河の関越え」 は東北地方の103年の悲願であったわけである。

 

 そしてスピーチはその後に、歴史に残る名フレーズが飛び出す。

 

 「入学どころか、たぶん、おそらく、中学校の卒業式もちゃんとできなくて、高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね。」

 

 「青春って、すごく密なので」

 

 「でもそういうことは全部『だめだ、だめだ』と言われて、活動していても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれたこと。」

 

 これを聞いたすべての大人が自分の学生時代を思い出したはずだ。「確かに自分たちの学生時代は密だったよな。今の子たちは、自分たちが普通に経験してきたことと、全く違う高校生活を過ごしているんだな」っと感じたのではなかろうか。

 

 スピーチで最も大切な要素とは、聞く人がいかに共感し自分事として捉えてくれるかどうかだと言われている。大人なら誰しも経験した学生時代の思い出を一瞬でプレイバックさせたこのフレーズ。今年の流行語大賞にノミネートされるであろうなんて言葉がチープに感じるほどの強烈なインパクト。

 

 そして最後の締め部分。

 

 「本当にすべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。」

 

 最後まで謙虚であり、冒頭部分同様、あくまでも主語は自分達ではなく、今回は全国の高校生を主役にする配慮。優勝直後の優勝インタビューなわけだから、準備はおろか普通であれば興奮で何を言っているのか分からなくなるであろう。しかしこの落ち着きとかみしめる様な一つ一つ丁寧な言葉遣い。

 

 これ書きながら、もう一度動画を見てまたウルッと来てしまった・・・。


【青春って、すごく密なので ①】

2022.10.19

 「青春って、すごく密」

 この言葉を聞いてピンとくる方々は相当多くいらっしゃることでしょう。まあこれをこの10月に話題にするなんてって思う方の方が多いかもしれませんが、8月この時期は北米出張中だったという強引な言い訳で勘弁して下さい・・・。

 

 さて本題に戻ると、そうこの名言はこの夏の甲子園高校野球大会決勝後の、仙台育英高校 須江航監督 優勝インタビューでのワンフレーズ。

 

 個人的に衝撃的なスピーチでした。大袈裟ではなく、私の中でこれまで日本人のスピーチで歴史に残るレベルだと感じています。心が震え、自然に涙が出るスピーチとはこういうスピーチなんだなっと感動という言葉では表現できない程のインパクトでした。

 

 前述にあるように出張中だったので、この優勝スピーチはネットで拝見しましたが、下記記載致します。

 

【全文】仙台育英 須江航監督 優勝インタビュー

 「宮城の皆さん、東北の皆さん、おめでとうございます!100年開かなかった扉が開いたので、多くの人の顔が浮かびました。

 

 準決勝、勝った段階で、本当に東北や宮城の皆さんから、たくさんのメッセージをいただいて、本当に熱い思いを感じていたので、それに応えられて何よりです。

 

 前半は(下関国際)古賀くんも、すごくいいピッチングしていたので、焦りはありませんでしたけど、本当に翻弄されている感じでした。でも、ここまで宮城県大会の1回戦から培ってきた、ことしの選手のできること、自分たちが何をやってきたのか本当に立ち返って、選手自身がよくやってくれたと思います。

 きょうは本当に斎藤(仙台育英)がよく投げてくれて、でも県大会は投げられない中で、本当にみんなでつないできて、つないできて、最後に投げた高橋も、そして、きょう投げなかった3人のピッチャーも、スタンドにいる控えのピッチャーも、みんながつないだ継投だと思います。

 

 入学どころか、たぶん、おそらく、中学校の卒業式もちゃんとできなくて、高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね。

 

 青春って、すごく密なので、、、

 

 でもそういうことは全部「だめだ、だめだ」と言われて、活動していても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれたこと。

 

 でも、それをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、やっぱり全国の高校生のみんなが本当によくやってくれて、例えばきょうの下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、どんなときでも諦めないで、暗い中でも走っていけたので。

 

本当にすべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。」

 

 以上がインタビュー全文になります。

 

 ちなみに動画は下記で御覧下さい。前半の監督インタビューは勿論、後半の選手のインタビューでもハンカチをお忘れなく・・・。