【21年間の感謝】
2020.07.312020年7月24日をもちまして、「リバードコーポレーション㈱ 鳥取徳尾本社」 での業務を無事終了いたしました。
このオフィスは1999年2月に竣工し21年間、弊社を支えて下さいました。現在川口グループの歴史は73年。創業52年~73年までをこの地で我々は過ごしたということです。
弊社の創業は1948年3月、鳥取駅前、鳥取市末広温泉町の小さな小さな一角から、創業者川口義治一人にてスタートしました。そこから鳥取市里仁に移転し、向かいの徳尾に拡張。更には野坂にも工場と倉庫を建設し、そしてこの度、鳥取市賀露町での新社屋・新工場のスタート。
72年間の歴史の中で、沢山の人々と出会い、数々の経験を重ね、この賀露町の地に辿り着きましたが、これまでの経験を決して忘れてはなりません。
末広温泉町があり、里仁があり、徳尾があり、野坂があったからこそ、今があるということです。
歴史の重みに感謝をしつつ、1999年から21年間皆を支え続けた徳尾オフィスの役目を終えました。ここは8月より工事に入り、年末よりKBC第二工場として、新たな大役を控えています。思い入れのある建屋だけに、まだまだ現役で頑張ってくれることにもまた、大きな感謝です。
それでも一つの大きな区切りです。
21年間ありがとうございました!! & 今後とも宜しくお願いします!!
【バイオフィリックデザイン オフィス ~後編~】
2020.07.23前回で、「バイオフィリックデザイン」 とは何か?を、少しはご理解いただけたかと思います。私もこれを取り入れると決断した後、独学でデザインの勉強しましたし、それこそ表参道ヒルズに入っている話題の日本初バイオフィリックデザイン採用のスタバに足を運び、実際中に入り体感してきました。
我々の新オフィスを作りあげる際に、私が誓ったのは、「迷ったら尖った方を選択する。普通のオフィスには絶対にしない」 ということ。
人というのは、考えれば考える程、話し合えば話し合う程、最終的に無難な選択に行きがちです。無難とはスタンダードなものであり、普通ということ。最も人気があるものが定着すると、イコールでスタンダードになるわけですから、後ろを振り返らない直感的なスピード決定が大事になるということです。
そしてこういったデザインを取り組む上で、私が重要視しているのは、「ストーリーを描く」 ということ。何かがあるということは、そこに物語があるからこそであり、そこに意味や意義があるはずというのは私の持論。その人が存在するということは、その人の存在意義が必ずあるということと同じ考え方で、強みを前面に出し、存在感を出し続けるためには、ストーリーが大事になってくるわけです。
よってこのオフィスを普通にしてはならないという思いを強く持っていました。
このオフィスを手掛け始めた際感じたのは、ここは横の空間スペースは比較的ある。そうなると上の空間が欲しくなるのが人の感性。そこから一気に軌道修正し、オフィス天井をぶち破り俗にいうスケルトン天井にして、ダクトやらパイプをむき出しにしました。天井は従来より約2メートル広がり、一気に空間が広がり開放感に溢れる仕様になりました。
その広くなった天井を見上げていると、今度は天井を空にしたくなってくるのが人の心であり、ストーリー性があるということ。早速天井をブルーに塗ってしまい、もうここまで来ると不謹慎な表現ですが、遊び心が大事になってきます。
常に 「普通のオフィスには絶対にしない」 という、ぶれない気持ちを持ち続けたからこその遊び心。
そして次に、森や緑をオフィス内にふんだんに配置するということ。幸いエントランスが吹き抜けでしたので、天井まで10メートル近くを緑で敷き詰め、オフィス内にも緑をしっかり入れ込みました。壁一面を緑にし、柱を木に見立ててこれもまた緑を施しました。
そのオフィス内で最も緑の多いスペースに、カフェコーナーを設置。ここは、「Innovation Café(イノベーションカフェ)」と呼ばれるスペースです。写真の通り、外を見ながら緑の壁と共に過ごす憩いの場所。休憩やランチを取るのは勿論ですが、ここで仕事をするのもOKというスペース。
そしてここにブラウンカラーのシーリングファンを設置し、益々カフェ感を前面に出すようなイメージを取り入れることに成功。カウンター自体も、鳥取産智頭杉を使い、まさに鳥取ネイチャーを創り出した空間。
私の中で、このオフィスのバイオフィリックデザインの象徴と言える部分が、このカフェコーナーとエントランスと柱の緑部分。
完成後、一人でこのカフェコーナーのソファに座り、このグリーンを見ていると、本当に心が癒され素晴らしいひと時が過ごせたとき、改めてやってよかったと実感しました。マイナスイオンが出ているわけではないのに、落ち着きながらぼ~っと眺めてしまうのは、この緑が持つ広大なエネルギー。
ここまで、大和建設社、やまこう建設社、田中工業社、おさき住環境設備社をはじめ、沢山の方々の御協力をいただき、ご迷惑をおかけしながら、私の無理難題に一つ一つ懇切丁寧に対応頂きましたこと、この場をお借りし心より御礼申し上げます。
手前味噌ですが、鳥取県No.1の夢があるオフィスが出来上がったと自負しています。ここからまた新しいチャプターが始まりますが、今まで以上にグループメンバーと一丸となり、夢のある企業を創りあげ、夢や感動を世界に向けて発信し続けたい。そんなことを心から感じさせてくれる、素晴らしいバイオフィリックデザインオフィスが完成しました。
全ての方々に、心から感謝です。
【バイオフィリックデザイン オフィス ~前編~】
2020.07.22いよいよ弊社新本社屋・新工場が完成し、それぞれオペレーションスタートが直前となりました。我々が手掛けたこの新本社屋・新工場ともに、かなり嗜好を凝らした様式にしています。正直一般的ではなく、極めて珍しい雰囲気にしており、その象徴というのが、今回取り入れた「バイオフィリックデザイン」になります。
実は新型コロナウイルスが騒がれ始めた、去る2月9日に、こちらのブログに下記のタイトルにてアップしました。
【新本社屋 & 新工場 完成へのチャレンジ】
http://www.kawaguchi-group.jp/blog_president/4223/
このチャレンジとは、新本社屋オフィス内にて私が最も拘ったポイント、「バイオフィリックデザイン」を導入すること。実は今回新社屋のオフィスデザインは、周りのサポートをいただきながら、ほぼ私独自で手掛けました。そのバイオフィリックデザインの基本コンセプトは下記の通りです。
【~New Office 基本コンセプト~】
バイオフィリックデザイン(緑・木・岩・土・空)
以前よりこのワードは知っており、興味は持っていましたが、今回このデザインを取り入れることで、私なりに独学で勉強してみました。その上で感じた率直な感想は、このバイオフィリックデザイン、本当に奥が深いということ。
今回のブログ、まずはこの「バイオフィリックデザイン」というものを、述べたいと思います。
我々人類は先天的に 「自然を好む性質=バイオフィリア(biophilia)」 という概念を持っているようです。このバイオフィリアとは、「バイオ=生命・生き物・自然」と「フィリア=愛好・趣味」 を組み合わせた近年作られた造語。
例を挙げてみましょう。我々は連休になると、自然豊かな山や海に行きたくなりますよね。これは我々がこのバイオフィリアを、本質的に持っているからこそのようです。森を歩くだけで癒されたり、雨音や鳥のさえずりを聞くだけで心が落ち着いたりするのは、生まれながらに持っているバイオフィリアの作用からくるからだと。
この「バイオフィリア」、実は1984年アメリカ生物研究者であるエドワード・O.ウィルソンが提唱したもので、上記の通り「人は自然とのつながりを求める本能的欲求がある」という概念。これは言い換えれば、「人は自然と触れ合うことで、健康や幸せを得られる」という考え方です。このバイオフィリアの概念を、具体的な建築環境に活かしたデザインを、バイオフィリックデザインと呼ばれます。
即ち、「バイオフィリックデザイン オフィス」で働くということは、自然の中で自然と一体になって働くということ。オフィスという無機質な空間ではなく、緑からマイナスイオンを感じたり、土の匂いに触れたり、空の光を浴びたりと、人間が本質的に最もリラックスできる空間をオフィス内に構築するというコンセプトから成り立っています。
このバイオフィリックデザインついて、ビジネス心理学者であるアメリカのロバートソン・クーパー社は、世界16カ国、合計7,600名以上の働く人々を対象にして、職場におけるバイオフィリックデザインがどのように人々に影響を与えるかを調査。その結果が驚くべき数字を出してくれました。
【バイオフィリックデザインで働く方々の調査結果】
幸福度: 15% UP
創造性: 15% UP
生産性: 6% UP
要するに、バイオフィリック・デザインを導入したオフィスは、コミュニケーション活発になり、人間関係もスムーズになり、イノベーション効果もうまれ、生産性も向上するであろうという、究極の相乗効果がうまれやすい環境になるとのこと。
今では世界のトップIT企業である、「GAFAM(Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)」 を中心に、世界的企業で採用され、そこで働くエリートたちは緑囲まれたオフィスで働いているケースが多々あるということ。
残念ながら、バイオフィリアの概念は日本ではまだ広く普及しておらず、2019年に表参道ヒルズのスターバックスが取り入れたということで話題になった程度。今では徐々に東京を中心に取り入れる企業が増えつつありますが、まだまだ日本はバイオフィリックデザインオフィス後進国。
まあ攻めると周りから批判をされやすい日本社会ではありがちな話ではありますが、弊社は幸い地方零細中小企業なので、基本的に失うものはありません。っというか、チャレンジしてこそという企業精神を、私が体現すべきというのが社風だと信じています。
即ち、失敗を恐れず、新しいことにチャレンジするいう企業文化の実践。
その為には、私のバイオフィリックデザインについての勉強をしなければなりません。そしてオフィス建物の外観、内装の一つ一つに意味とストーリーが必要だと気付きました。それは当然の如く、私自身にとっても大きなチャレンジということ。
後編に続く・・・。